2014年4月26日土曜日

20140426 ツァイスに感動し、ミノルタαにげっそりし

去年の秋くらいに、ソニーが、フルサイズすなわち35mmのCOMSセンサーのミラーレス一眼カメラ、α7をリリースしました。いままで一眼レフは、センサーはたいていAPS-Cで、これはフルサイズの面積のだいたい3分の2くらい。
これまで、フルサイズの一眼レフというと、わずかしか出ておらず、巨大。だいたいプロ用。持ち歩くことさえできないようなものばかりだった。

α7は小さい、それまでソニーから出ていたコンパクトなミラーレスのNEXよりも少しだけ大きいサイズなので、たぶん誰もが驚いたはず。
でも、その前に、ソニーはこのフルサイズということでは、コンデジでRX1というのを発売している。
このところ、ソニーは、カメラの領域では驚くような製品を出していたことになる。わたしは最近になるまで気が付かなかった。なんせ、ヘッドホンとパソコンしか見てなかったので。

で、α7なんですが、これはNEXと同じEマウントというのを採用していて、興味深いのは、オートフォーカスもできるLA-EA4というαレンズ互換のマウントアダプタも出していること。ミノルタが一眼レフから撤退した時、ソニーはこのαシリーズを買い取った。で、αのマウントのレンズが、ずっとソニーから売られていた。このマウントで、ソニーはレンズを今もたくさん売っている。

わたしは90年代、一眼レフカメラというと、ずっとミノルタばかり使っていた。これはたぶん父親がずっとミノルタだったから、というところから来ている。
最近、ソニーのα7とLA-EA4を入手して、古い、いつも馴染んでいたミノルタの中古レンズを手に入れてみた。α7はフルサイズのセンサーなので、たとえばミノルタの50mmは、そのまま50mmの画角になる。ソニーのαマウントのレンズは、たいてい今の一眼レフが、APS-C素子なので、これはそのままの画角ではなく全部1.5倍になるので、50mmは、75mmになるというわけ。こんなんじゃ使う気しない。とくにわたしは望遠側のレンズが嫌い。無用の長物にしか見えない。

ともかくα7ならば、フィルム時代のレンズはそのままの比率で使えるということで、ヤフオクでジャンク屋さんから、ミノルタレンズを五本まとめて15000円で入手。ちゃんとオートフォーカスができるので、驚きました。
で、明治通り沿いの建物を撮影して、ミノルタのαシリーズのレンズの感じを思い出した。
そう、わたしは90年代、このミノルタのレンズにげっそりしていたのだった。
味のない、平均的なサラリーマンのような、レンズの描写。なんか日本人の、いやなところを見せつけるようなレンズなんです。正確ではあるけれど、味はまったくない。機械のような。

ソニーは、このαマウントのシリーズを売りつつ、同時に、カール・ツァイスからライセンスを受けてツァイスのレンズの生産もしている。
で、これも思い出したことなんだけど、90年代、わたしが感動したカメラというと、コニカのヘキサーというレンジファインダーのカメラと、コンタックスのG1だ。
ヘキサーは、35mmF2.0のヘキサノンのレンズで、ミノルタの平凡サラリーマン風のレンズ描写に比較すると、なんとも味のある、じっと写真を見ていたくなる感じの映り方をした。これは92年に発売されたもの。
でもそれよりももっとすごかったのは、キョーセラが出したcontaxG1だ。
発売は94年に始まり、これもライカのようなレンジファインダーで、ツァイスのプラナーT*、35mmF2がついたものを中古で、三宝カメラから、手に入れた。基本的に、わたしはカメラというものは、中古を買うものだと思っていた。

ツァイスのプラナーは、精緻な、というか神経質なくらいの正確さがあり、これで彫刻作品などを撮影すると、すみずみまで繊細な描写の写真となって、毎度、わたしは驚いていた。写真というよりも、これ自身がもう作品では?と感じるような。キラキラして、なんとも上品。輪郭が鋭角。これと比較すると、ヘキサーは、曖昧さの残る、ほのぼのした映像だが、悪くはなかった。
そのころ、ミノルタの一眼レフに比較して、やはり単レンズで、レンジファインダーのカメラが最高だと思っていたのだ。

で、現代のソニーは、わたしが馴染んでいるミノルタαと、カール・ツァイスを両方ともレンズで生産していることを、わたしは再認識した。今になって。
いままでも知っていたけど、はっきりと意識したのは、今週と先週だ。

わたしの中では、いまだに、カメラの理想形は、キョーセラのコンタックスG1とか、ヘキサーなので、こういう趣味からして、ソニーのサイバーショットRX1に手を出さない理由はないのかもしれない。
RX1は、なんとカール・ツァイスのゾナーT*、35mmF2だ。コンタックス、ヘキサーと同等。そしてフィルム時代と同じフルサイズのCMOSセンサー。



90年代、わたしは毎日ノートパソコンで原稿を書くために、喫茶店を探し、そしてコンタックスとかヘキサーで、街中のお稲荷さんを見つけては、お稲荷さんの写真を撮り、万年筆は、インクがすぐに詰まる八角形の銀のモンテグラッパを愛用していた。RX1は、そういう時代を思い出すようなヘキサーやコンタックスG1を現代に再現したようなカメラだ。

ツァイスのカミソリのような輪郭表現は、建築物を撮影するのに適していると思うが、それで、明治通り沿いの代々木から事務所のある南新宿までの範囲の建物を写していると、あらためて、鋭角の建物が多いことを意識する。それに変則的な形のものも多い。日本の建物はそんなに古くないので、ロンドンの光景を見るようには楽しめないが。

ネットの写真の作例では、だれもが必ず花の写真を撮影しますね。
こういう場合、50mmの明るいレンズで、解放にして、背後をボケさせる。で、このボケ具合で、いいレンズかどうかを判断する人が多い。ボケ味がいいという定番のレンズ、伝説のものは、ヤシカコンタックスのプラナー50mmF1.4だが、これはマップカメラとかでも、5万円前後で中古が売られている。α7でも、マウントアダプタを介して使えるけど、35mmがあるので、意味がないようにも見える。
わたしは長い間、50mmクラスのレンズは、案外とシグマがいいと思っていたけど、ソニーのツァイスなどと比較すると、シグマもミノルタα的です。要するにツァイスが凄すぎるだけなのかも。シグマは一時ライカのレンズを生産していたと思うが、安いシグマのオリジナルのレンズは、やはりそれなり。

今日はこれから大阪で講座です。のぞみに乗っている。